最終形態。

 

 

昔教えていた、ある子のお話です。

 

 

 

 

 

結構なポッチャリ体系で

当然、足は遅い。

 

気は強くない。

むしろ、弱い方。

 

ドリブルも上手くない。

キックも得意ではない。

 

唯一、出来るのはインサイドキック。

 

でも、得意という訳ではなく

あくまでも普通に蹴れる…というレベル。

 

 

 

 

 

自信のないところに

その優しい性格がプラスされるのか

 

ゲームになると

 

『ボールが来たら、すぐに味方にパス…』

 

そんなプレーを繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドリブルしたら取られてしまう…

 

自分のところで取られると仲間に迷惑がかかる…

 

攻撃は他の子に任せる…

 

だから、早めにパス…

 

 

 

 

そんな考えが充分に汲み取れた。

 

 

 

そして、そんなプレーをずっと続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある時、試合で

こんなプレーを披露する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カットをそのままパスにする…

 

 

 

  

 

 

 

 

要するに

守備の一つ目を攻撃のスタートにする。

 

 

 

 

 

守備と攻撃が混在するサッカーにおいて

ルーズボールや1対1の攻防など、次にどちらに転がるか分からない瞬間が存在する。

 

それを見極めて守備の準備をしておくのがプレーヤーの常だが

その見極めをさせてもらえず守備に入らなくてはいけなくなる。

 

当然、守備側は出遅れる。

 

攻撃側としては最高のスタート

守備側として最悪のスタート

 

 

仲間にはプレゼントを贈るような

相手にはダメージを与えるような

 

 

 

そんなプレーを

ワンタッチでやってのけたのだ。

 

 

 

 

 

 

ドリブルは下手だからしない

ボールを取られて仲間に迷惑をかけたくない

攻撃は他の子に任せる

 

 

そんな思いの詰まったプレー

フリーザで言ったら最終形態…(笑)

 

 

 

私にはそんな風に思えるプレーだった。

 

 

 

 

 

 

 

ポッチャリ体系で足が遅く

決して運動神経が良いとは言えない

ボールも上手く扱えない

そして気が弱い

 

 

 

だからこそ

行き着くことが出来た

価値のあるプレー、最高の一瞬。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大事なのは

 

『やってみる…』

『やり続ける…』

 

という事。