サッカーの神様。

 

 

『今だよ!今~~~』

『今、試されているんだぞっ!』

『頑張れっ!!』

 

 

 

ベンチから

出来るだけ諭すように

私は声をかけた。

 

 

 

 

チームでは明らかな中心選手だがイライラし始めると

仲間には、指示半分の罵声を容赦なく浴びせ、自分自身のプレーにも精彩を欠くという弱点を持っていた。

 

「そんな時こそ、冷静に、且つ仲間を大事にする」

 

と、いつも話してはいたのだが

頭では分かっていても中々それを実行出来ずにいた。

 

そして

この試合もイライラが溜まり始めていた。

 

 

 

 

一番、後ろで守りつつ

機を見てドリブルで持ち上がり

仲間にラストパス。

 

 

 

それを仲間がシュートミス…

 

 

そんなプレーが何度か繰り返された後だったので、

同じプレーヤーとしては気持ちを汲み取れない訳でもなかった。

 

 

とは言っても

仲間への「罵声」はコーチとしては絶対に認められない。

ましてや、イライラし自分のプレーが精彩を欠いていては元も子もない。

 

 

 

「お前は今、試されている…」

 

 

 

コーチとしては、そんな想いでの言葉。


「ここを何とか乗り越えて、ひとつ成長して欲しい・・・」

 

そんな願いも言葉にのせて

懸命に、そして諭すように言い続けた。

 

 

言われた事をやろうと

努力する姿勢は見て取れるが

そんなすぐに劇的に変わる訳がない。

 

おそらく

そんな事も、それに拍車をかけたのだろう。

試合の後半にはイライラもピークに達し

「ほぼ号泣」でプレーする状態になっていた。

 

 


そしてその一方で私も

同じ言葉をベンチから言い続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう試合も終盤

 

 

その子がベンチに向かって

泣きながらこう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


『いったい、俺は誰に試されてんだよ!』

 

『わかんねーよっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっ!

そうでしたか・・・

 

 

それは申し訳ない

 

 

 

 

 

一応ね・・・

「サッカーの神様」にね・・・

試されている・・・

 

 

という程でね・・・

 

 

 

お話しさせて頂いたんですがね。

 

 

 

 

 

そうね 

なんかゴメンね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コーチングって難しいね(泣)